オホス・デル・サラード登山記 (1) 準備編

チリ

アンデス5ヶ国最高峰を目指し、アコンカグア、チンボラソと、どうにか登ってきました。次なる目的地は、チリのオホス・デル・サラードです。火山七大陸最高峰の一つにも数えられ、標高6,893mと世界で最も高い火山でもあります。

火山七大陸最高峰は、今までアフリカのキリマンジャロと、アジアのダマーヴァンドに登頂済みです。残るはヨーロッパのエルブルース、北アメリカのピコ・デ・オリサバ、南アメリカのオホス・デル・サラード、オセアニアのギルウェ山、南極のシドリー山です。莫大な費用のかかるシドリー山を除けば、手の届かない目標ではありません。いずれも魅力ある山々ですので、今すぐ全制覇を目指さなくても、一つずつ挑戦していって損はないでしょう。そうなると、何としても越えなければいけない壁が、一番高いこのオホス・デル・サラードです。

実は2023年12月にも挑戦しましたが、高山病にこそならなかったものの、6,500mを超えてから歩くスピードが鈍り、強風も迫っているとのことで、山頂までわずか標高50mのところで、強制的に下山を命じられました。交渉すれば登れた可能性はありますが、標準タイムより遅い時点で実力不足を認め、素直に引き返したのです。

前回は6,840m地点で無念の撤退

この山は少し特殊で、アタカマ砂漠という遠隔地にあり、付近に集落らしきものはなく、電気や水といったインフラも何一つないため、大抵はツアーの行程が最小限です。ほぼ同じ標高のアコンカグアでは、登頂日は13日目だったのに対し、こちらでは9日目でした。ツアーの期間だけでは、高度順応も十分ではなかったでしょう。

それを踏まえ、今回は異なるプログラムを提供するツアー業者を選びました。5,300m、6,000m、6,300mと段階を踏んで順応登山が組まれており、登頂日もスムーズになると考えたからです。

そして、ツアーに合流する前に高度順応をすることにしました。同じツアー業者に相談したところ、サンティアゴ近郊のエル・プロモという5,400mの山のツアーを勧められました。アコンカグアの高度順応によく使われるそうで、山としても興味を持ちましたが、あいにく他に参加者がおらず、ツアー代金は2,400米ドルとのことで断念しました。都市での順応も考えましたが、いかんせんチリでは人口が沿岸部に集中しており、標高の高い都市がほぼありません。

そこで、隣国ペルーに滞在することにしました。ペルー南東部には、標高3,000mを超えるクスコやプーノといった有名な都市があり、インカ帝国ゆかりの地を観光をしながら快適に滞在できるうえ、周辺には5,000m前後のハイキングコースもあるという、まさに高度順応にうってつけの場所です。

そうと決まれば準備です。まずは、ペース配分のため、高度計付きの時計を買いました。いくつかのブランドがありますが、道中で太陽光充電できない状況も想定し、ボタン電池式のSUUNTO COREを選びました。文字盤もシンプルで分かりやすいです。

高度計付きの腕時計

続いて購入したのは、防寒仕様のコンパクトデジカメです。私は普段、一眼レフを使っていますが、山では荷物になります。以前、アコンカグアの最終キャンプまで持って行きましたが、この重さは登頂の成否に関わると思い、キャンプに置いて行きました。ところが登頂日、写真を撮ろうとスマートフォンを取り出すと、何と痛恨の充電切れ。外側のポケットに入れており低温で消耗したようで、その場で温めても電源は入りません。結局道中の写真はなく、山頂でガイドに撮ってもらった一枚だけという、苦い経験をしました。オリンパスのこの機種は-10度まで稼働するらしいので、一番内側のポケットに忍ばせておけば、6,000m級の山であれば問題ないでしょう。出費が相次ぎますが、割り切ってしっかり活用し、元を取ろうと思います。

-10度まで対応というコンパクトデジカメ

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